真夜中の訪問者
大和の目を見ると、どこか悲しそうな目をしていた。
そして大和の手がスッと私の頬に触れる。
『…ホントにそう思ってる?』
その問いに私はどう答えればいいのだろう。
本心を言ってみる?ううん。そんな事言ったら
お終いに決まってる。
「あ、当たり前でしょ。可愛いけど気難しい弟だよ」
本心を悟られないようにわざとふざけて答えた。
『…俺は、姉だなんて思ってねぇよ』
大和。今さら何を言ってるの?あなたが前にそう言ったから私はずっと姉役を演じてきたのに。
「私は…弟だと思ってる」
『嘘だ』
「嘘じゃない」
『嘘だね。美南の気持ちは前からお見通しなんだよ』
「…んなの、解るはずない」
突然、大和は私の後頭部に手を回しぐっと自分の体を近づけた。
「ちょっと、近いって!」
『当たり前だろ。キスすんだから』