美術部ってさ!
「…いいじゃないか…冬馬、手ぇ出してないだろうな?」

「出していませんよ、先生…タッチですぐにバレるでしょう?」

「そうだよなぁ…椿、劇的ビフォー・アフターだぞ、コレ…写メとっとくんだったな…」

「先生まで、冬馬と同じ事言わないで下さいよ…」

「あはは…悪い悪い、それだけ良く描けてるって事だよ。これなら、Bはかたいな…推薦落とす事はないだろうよ」

「よっしゃー!ありがとうございます!」

「しかし、冬馬どうやったんだ?美術教師、向いてるんじゃないか?」

「え…いやですよ…」

冬馬はそう言うと、自分の作品に戻って行った。

「あ…」

椿はお礼を言うタイミングを逃して、頭をかいた。

「じゃあ、椿は名前とクラス書いて、オレのとこに提出したら帰っていいよ」

「あ、はい…」

「冬馬も、ほどほどにして帰れよ〜」

「はい…」

カリカリと、小さな音を立てながら冬馬は答えた。
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