美術部ってさ!
「…出来た!!」

静かな美術室に、椿の声が鳴り響いた。

気づけば下校のチャイムも鳴り、北側にある美術室の外は夕日に染まっていた。

「…お疲れ様です…」

「お疲れ!見てくれないか?一応」

エプロン姿のまま、冬馬は椿のデッサンに近づくと、のぞき込んだ。

「ほ〜…いいじゃないですか…絵の才能ありますよ、椿君…消す前のヤツ、写メでとっとけば良かったですね…」

「お〜、いちいち言葉に毒を感じるが、ありがとよ!オレも正直驚いてる」

椿は立ち上がって、自分のデッサンを離れた所から見ると、満足そうに腕を組んだ。

「お〜椿、調子はどうだ〜?」

ちょうどその時、職員会議を終えた榎本が美術室に入って来た。

「先生、終わったっす!」

「お〜見せてみろ…」

榎本は腕を組んでデッサンをのぞき込むと、目を見開いた。
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