冷たい王子様。
席替え

新学期

高校生になって半年が過ぎた。
一学期は目の回るような忙しさで、ばたばたしたまま迎えた夏休みも昨日で終わり。
まだまだ茹だるような暑さがまだまだ続きそうだ、憂鬱になりながらも、赤と黒のラインが交互に走るネクタイを締めた。
「アップにしよっかな。」
今朝見た天気予報では今日は33℃になると、カマトトぶってるアナウンサーが言っていた。さすがに胸まで伸びた髪を下ろして歩くには勇気がいる。
そう思った私は、ブラシを手に取り髪をとかしてポニーテールに結い上げた。

今日は教科書とかはいらなかったはずだけど、課題でスクバがずっしりとしている。

先輩に目を付けられるからあんまりメイクとかしないけど、今日はちょっとしていこうかな。とはいってもガッツリやれば先生にも先輩にも同級生にも分かっちゃうからナチュラルに。
ビューラーで軽く睫毛を上げて、ほんのりチークを入れる。リップは…この前買った好きなブランドの新作色つきリップ。
…ちょっと濃いかな。ティッシュで軽くチークを落として唇をンパッとする。
「よし。…もうこんな時間かぁ。」
チラリ視界の端に移った壁掛け時計に目を向ければ、針は8時を指していた。

立ち上がりドアの横においてある全身鏡で全体をチェックする。
ちょっと太ったかも。痩せなきゃな~…。

「優貴《ゆうき》ー!早くしないと遅刻しちゃうよー!」

一階から母が呼ぶ。心配性な母は常に10分前行動を心がけているらしく、私にもそれを強要する。しかしマイペースな父を持つ私はどちらかというと性格はそっちに似ている。
徒歩5分の道のりだ。そんなに時間は掛からないんだけど。
今日は新学期ということもあってかいつも以上に母の心配性が起動している。
怒らせるとメンドクサイので手短にハイハイ、と返して下に下りた。

< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop