パツ子と甘えん坊くん。



贅肉のついたお母さんの胸元は柔らかい筈なのに、あたしが倒れ込んだ胸元はとても固い。



しかも服からはいつも嗅いでた、いつもあたしを包んでた柑橘系の匂いがする。



ちなみにお母さんはフローラル系の匂い。



いや、まさか…ね



その固い胸元を弱い力で押して、顔を上げる。



見た瞬間、ダルかった身体が一気に目を覚ました。



そこにはずっと会いたかったけど会えなかった、大好きな人がいた。



「…ま、真琴…!?な、なんで…?」



電話の声は確かにお母さんだった。



なんで…?
今のあたしの頭にはこの言葉しか出てこない。


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