パツ子と甘えん坊くん。



頬が熱い、顔全部が熱い。
そんな中、あたしは真琴に甘える。



「…も、も桃、た、食べたい」



いきなり甘えてきたあたしに最初は驚いていた真琴だったけど、やがて笑ってフォークに桃を刺した。



「はい、あーん」



かなり恥ずかしいけど、口を開ける。
あたしの口の中に冷たい桃が入ってきた。



更に驚いたのが、桃が柔らかかったこと。
あたしは桃は柔らかいのが好きだ。



もしかしてそれも知ってて柔らかい桃を選んできてくれたの?



そんなにあたしのことを考えてくれてたの?



風邪で精神的に弱ってるせいか、真琴の優しさが身に染みる。



あたしは泣きそうになるのをグッと堪えて、桃を完食した。


< 68 / 236 >

この作品をシェア

pagetop