パツ子と甘えん坊くん。



「…ご、ごちそうさま」



下を向いて小声で言う。
真琴が「おいしかった?」って聞くから何も言わずにコクリと頷いた。



お皿を片付けようとしたのか、真琴はベッドから立ち上がった。



その時、あたしの手が勝手に真琴のワイシャツの袖を掴んでいた。



「…小夏?」



真琴は驚いてあたしを見ている。
何故あたしが真琴のワイシャツの袖を掴んだのか、自分でも驚いた。



でも今はどこかに行って欲しくない。
ずっとあたしの近くにいて欲しい。



そう思ったのは確かだ。



「…か、片付けるのは後でいいから、今はこ、ここにいて」



真琴の袖を掴んだまま、頬を赤らめそっぽを向いていた。
だって真琴の目を見て言うのは恥ずかしいから。



だから真琴がそんなあたしを見て頬を赤くしてるのは知らない。



お皿がテーブルの上に置いてあるお盆に置く音が聞こえた。


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