*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
次は、化粧だ。




汀は重い装束を引きずり、二階厨子(にかいずし)の開き戸をあけて、絹布を数枚取り出した。



さらに二階棚から、鏡筥と唐櫛笥(からくしげ)をとる。




それらの物を両手に抱えて、鏡台の前に座った。





鏡筥の蓋を開け、中から鏡を取り出す。




鏡面を絹布で丁寧に拭き、鏡台に懸ける。





さらに、唐櫛笥の蓋を開けて、櫛などの化粧道具が揃っていることを確認する。






全ての準備をすませると、鏡に映った自らの姿を、汀はぼんやりと眺めた。





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