*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
屋根の上に真っ直ぐに佇む人影は、矢の飛んで来た方向を見たあとに、ちらりと六の君を一瞥した。
―――次の瞬間。
一瞬だけ深く屈み込んだ人影は、ばねのようにしなる身体を撓ませて大きく跳び上がると、築地塀の上に飛び乗った。
その勢いの失せないうちに、もう一度全身に力を込めて、築地の向こうへ飛び降りようと構える。
(ーーー待って!)
六の君は心の中でそう叫び、慌てて駆け出そうとする。
しかし、一歩踏み出した途端に、袴に足をとられて転んでしまった。
どしゃりという物音に、人影は不意を突かれたらしく、反射的、というように動きを止めた。
地にうち伏した六の君を、戸惑ったように見下ろす。
僅かな油断が生まれた、その刹那。
ーーーひゅん
次の矢が、飛んで来た。
気付くのが一瞬、遅れてしまった。
咄嗟に築地から飛び降りようとしたが、間に合わなかった。
六の君は、人影の胸の辺りに、一本の矢がしらじらと突き立つのを見た。
―――次の瞬間。
一瞬だけ深く屈み込んだ人影は、ばねのようにしなる身体を撓ませて大きく跳び上がると、築地塀の上に飛び乗った。
その勢いの失せないうちに、もう一度全身に力を込めて、築地の向こうへ飛び降りようと構える。
(ーーー待って!)
六の君は心の中でそう叫び、慌てて駆け出そうとする。
しかし、一歩踏み出した途端に、袴に足をとられて転んでしまった。
どしゃりという物音に、人影は不意を突かれたらしく、反射的、というように動きを止めた。
地にうち伏した六の君を、戸惑ったように見下ろす。
僅かな油断が生まれた、その刹那。
ーーーひゅん
次の矢が、飛んで来た。
気付くのが一瞬、遅れてしまった。
咄嗟に築地から飛び降りようとしたが、間に合わなかった。
六の君は、人影の胸の辺りに、一本の矢がしらじらと突き立つのを見た。