*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
男たちの会話を耳にした六の君は、小さく首を傾げる。







(ーーーシラヌイヤマの、


ホカゲドウジ………?)







聞いたことのない名だった。



しかし、この人影が追われて危機に瀕していることだけは理解できた。






六の君は、満身に力を込め、気を失って倒れている身体を抱きかかえる。



男の身体だったが、細身のため、思ったほどは重くなかった。






近づいてくる話し声に焦りながら、六の君は男を引き摺っていく。




舎人たちのやってくる方向とは反対側の、東の対の裏側へと向かった。








(腕力と脚力には自信があるわ。


あの馬鹿みたいに重い着物を着て、毎日生活してるんだから………)








心の中で、ひとりごちる。








(……とにかく、見つかったらまずいわ。


この眩い望月の、明るすぎる光が届かないところまで、なんとか連れて行かなきゃーーー)







はぁはぁと息を弾ませながら、六の君は足音を忍ばせて、庭の隅を移動した。






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