*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「まぁっ、姫さま!
いけませんわ、おみ足が、お裾が、汚れてしまいます………」
露草は慌てて六の君を止めようとする。
しかし六の君は、なんとも心外そうな表情になった。
「あら、ふふ、いやぁね、露草ったら。
私さっき、東の対の向こうの築地まで、走って行ってきたのよ。
裾も足も、もうすっかり汚れてるわ」
「そ、そうですけれど………」
露草は言葉に詰まってしまった。
「そんなことより、露草!
ちょっと手伝ってくれないかしら?
怪我人をここまで運んでこなきゃ。
一人じゃ連れて来れないから、あなたに手を貸してほしいんだけど」
「えっ、ええっ。
ええと、そのお方はどこに………」
「東の対の庭の、立蔀の陰に隠してきたの」
「まぁ、それでは、庭に降りて、でございますよね………」
露草は戸惑ったようにちらりと視線を落とした。
いけませんわ、おみ足が、お裾が、汚れてしまいます………」
露草は慌てて六の君を止めようとする。
しかし六の君は、なんとも心外そうな表情になった。
「あら、ふふ、いやぁね、露草ったら。
私さっき、東の対の向こうの築地まで、走って行ってきたのよ。
裾も足も、もうすっかり汚れてるわ」
「そ、そうですけれど………」
露草は言葉に詰まってしまった。
「そんなことより、露草!
ちょっと手伝ってくれないかしら?
怪我人をここまで運んでこなきゃ。
一人じゃ連れて来れないから、あなたに手を貸してほしいんだけど」
「えっ、ええっ。
ええと、そのお方はどこに………」
「東の対の庭の、立蔀の陰に隠してきたの」
「まぁ、それでは、庭に降りて、でございますよね………」
露草は戸惑ったようにちらりと視線を落とした。