*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「……………え。
えぇぇぇぇ…………っ!?」
ーーーがしゃーん!!
あまりにも急すぎる発言に、露草は動揺のあまり近くにあった文台をひっくり返してしまった。
それを片づけるという考えさえ浮かばず、口をぱくぱくとさせて汀の顔を凝視する。
汀はにこにことしたまま繰り返した。
「入内の話は、なかったことにするわ!
………もちろん、いまさらそんなことできないだろうから………。
もう、逃げるしかないわね!!」
「…………にっ、逃げる!?」
露草の声まで、とうとうひっくり返ってしまった。