*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「六の君よ。


お前はもう、どこに出しても恥ずかしくはない、やんごとなき姫君だ」







「まぁ………」







六の君は声に笑みを滲ませた。







「ふふふ、こんな瞳の色でも?」







茶化したように囁かれた言葉に、兼親は眉を下げる。







「む、まぁ、それについては………まぁ、あれだが」







(んまぁ、父上ったら。


誤魔化すのがお下手ね)








六の君は扇の陰で、声を出さずにくすりと笑った。








「まぁ、それはともかく」








兼親は気を取り直したように口を開く。








「お前も立派な姫君に育ったことだし。


一つ、喜ばしい話があるのだ」







「まぁ、なんでしょう」






< 61 / 650 >

この作品をシェア

pagetop