*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「それはな……まだ言えないのだよ。


まだ、本決まりではないのでな。


ぬか喜びをさせてしまってはお前が可哀想だから、きちんと話がついてから、また改めて報告するつもりだ」







「まぁ、いったいどんなお話なのかしら?


ふふふ、楽しみにしておりますわ」







「うむ」








兼親はにこにこと破顔した。




その時、ふっと視界の端に映った色鮮やかなものに気がつく。








「………ん? なんだ。


塗籠の前に、屏風や几帳がやけにたくさん置かれているが………」








六の君はびくりと肩を震わせた。







「え、えぇと、それはですね………」







言い訳をしようとした声が思わず上擦ってしまい、慌てて咳払いをする。






< 62 / 650 >

この作品をシェア

pagetop