*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「……………っ、きゃーーーっ!!」
唐突にけたたましい叫び声を上げた六の君を、さすがに青年が驚いたように見つめる。
「……………喋った!!
蘇芳丸が喋った!!!」
六の君は顔中を真っ赤に紅潮させ、両手を口許に当てている。
その眼尻には、涙まで滲んでいた。
あまりにも大袈裟な反応に、青年は怪異の現象にでも遭遇したかのような怪訝な表情を浮かべる。
青年が黙って様子を見守っていると、六の君は興奮したように勢いよく上半身を起こした。
青年は、何事かと目を丸くする。
――――すると。
―――――がばっ!!
六の君は、倒れこむようにして青年に抱きついた。