*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
青年は驚きのあまり、目を白黒させていた。



一方、六の君は感動のあまり、抱きついて頬ずりせずにはいられなかった。








「………あぁっ!!」








わなわなと声を震わせ、六の君は叫ぶ。









「蘇芳丸!!



私、嬉しいわ!!



あなた、やっと、心を許してくれたのね………っ!!」








「……………?」









青年は怪訝な面持ちのまま、答えない。






仄明るい塗籠の中を、沈黙が流れる。






しばらく、抱きついたまま感涙にむせぶ六の君の嗚咽だけが聞こえていた。








奇妙な状況に、どうすればいいのか見当もつかない、といった表情で青年は硬直している。







そのとき。








「…………んん?」








六の君がふいと顔を上げた。





そのまま、子犬をのようにくんくんと鼻を動かす。






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