イケメンの顔面踏んづけた結果。
…それにしても、凄いなぁ。
こんな所で雑誌って撮影してるんだ。
とりあえず端っこの方に寄って、七五三以来初めて足を踏み入れた“スタジオ”ってやつをキョロキョロと見渡す。
高い天井。
スタジオに響くシャッター音。
レンズ越しの世界を捉える、カメラマンさんの真剣な眼。
そしてその先には超絶イケメンなモデルさん。
新藤慧に勝るとも劣らない…
モデルの世界ってホントにこんな人ばっかりいるんだ。
恐ろしい世界だな…
なんて考えながらボンヤリ撮影風景を眺めていると
「…じゃぁ次ケイ、入って」
いつの間に準備を終えていたのか、制服から普通の洋服に着替えた新藤慧が、カメラの前に立った。
「よろしくお願いします」
その瞬間
素人のあたしにでも分かる
場の空気が変わった気配。
みんな少し緊張した、でもどことなく楽しそうな真剣な瞳で、カメラの前の新藤慧を見つめる。
シャッター音が響く度、変化していく新藤慧の表情。
時にはクールに、時には鋭く威嚇するように
そして時には
「じゃぁ笑ってみて」
柔らかな笑顔―――
このあたしとしたことが
あんな最低な男なのに
なんだかドキッとしてしまった。