華の欠片

斎藤 一

道場を出て少し歩いた所で前を歩いてた

斎藤がふいに止まった。






「ここだ。」






襖を開けると一人部屋としては少し広い

であろう個室に物はあまり無く殺風景さ

を醸し出していた。



広いと感じたのはやはり殺風景と思わせ

るほど物がないからなのだろうか。



「何突っ立っている。入れ。」





「....あ、あぁ」






なんとなく部屋に入る事を躊躇したが渋

々と中に入る。






「....そんな謙遜しなくていい。今日から

ここがお前の部屋だ楽にしていい。」







「ありがとう。」





軽く斎藤に会釈を返した。





「布団はそこの仕入れの中に入っている

。服は俺が昔着ていた物があるから其れ

を貸そう。

その他に足りないものがあったら言って

くれ。一緒に買いに行ってやる。」






「分かった。ありがとう」





「とりあえず、今日はもう床につけ。風

呂に関しては、申し訳ないのだが夜は基

本隊士達が使うだろうから、朝の方が良

いだろう。厠は外にある。」







「分かった。」






「俺は今日これから隊務がある。お前は

明日から少しずつ出てくれれば良い。」







「…分かった」






斎藤は一対一だと口数が多い気がする。

斎藤ってこんなに話す人だったけか?

逆に今は私の方が無口であろう。







椿はとりあえず布団を敷く事にした。


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