華の欠片
~斎藤~







一悶着あって、一人部屋が一人部屋で無

くなってしまった。






別に一人部屋が良かった訳でも、相部屋

が嫌なわけでもない。




相手が問題なのだ。





まだ、相手が男なら別に良いとして、そ

の相手というのが若い女なのだから。






良いのだろうか。若い女と相部屋なんて。




里原は、嫌じゃないのか....?







里原の監視も兼ねての土方さんの策略だ

ろうが、いくらなんでも相部屋となると

な........



しかも、同じ班で隊務か…



里原の剣の実力は認める。

実際にこの目で確と見た。






だが、里原は右目が見えて居ない。

右の視界はかなり狭ばっただろう。





本人は隊務に支障をきたさないとは言っ

てるものの、いつそれが仇となって出る

か分からない。






それに里原は理由は分からないがとても

冷たい目をしていた。






というより今もだ。




笑った所を見たこともない。

ここへきてずっとあの態度なのだから愛

想笑いもどうせしないのだろう。




あの時…里原を始めてみた時の表情はと

ても綺麗だったが、どこか冷たさを放っ

ていた。







一人で過ごして来た時間が里原をそのようにしてしまったのだろうか。


それともあいつの過去に何かあるのだろ

うか。



何故あんなに幼い少女がここまでの落ち

着きを放って居られるのかが不思議でた

まらない。







何故だかこの時、俺の中にある感情が芽

生えた。


あいつを…笑えるようにしてやりたい…

と。


いや、自分の隣で笑って欲しいと。







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