華の欠片

私の愛刀の名前は「紅」(くれない)。

この刀は私に剣術を教えて下さった恩師

に頂いたモノだ。




そしてもう一刀。

この無駄に豪華な装飾が付いてる刀は我

、里原家に伝わる家宝だ。


岩通(いわおとし)というらしい。

こちらの刀は滅多に抜くことはないが、

小まめに手入れをしないと刀本来の能力

が発揮出来なくなってしまう。




両親が死んでから身内の居ない私が家を

出る時、家宝であるこの刀だけを持ち出

したのだ。




それはちょうど7つの頃だったか.....





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私の父はその村では割と大きな道場を開

いていた。

その為幼少の頃から女の子ながらも父か

ら剣術を習い女剣士になる事を夢見た。




そんなある日の夜、中厠に目覚めた私が

客間を素通りした時だった。


こんな夜中に両親と知らない男の声が聞

こえたのだ。




「あの子だけには手を出さないで下さいっ」



「ぁあ?今月の分、払ってない癖してよ

くも言えたものじゃないか!

大体な、金を借りたのはそちらさんだよ

な?ちゃんと利子付きでちゃんと返済し

てくれないと困るんだよね。」




「そんなの!利子がいくらなんでも高す

ぎる!私はもう借りた分の二倍は返済し

た。それでも足りないというのか⁉」



「巫山戯んなっ!俺らに借りたのは貴様

だぞ!まだ分からないのかっ!

よし...もういい。ここで終わりだ。

お前らを殺ってここの有り金全部頂いて

いく。

いくらお前でもこんな狭い部屋でこれだ

けの大人数に勝てるまい。」




私は覗くつもりなんて無かった。でもた

だならぬ光景に足がくすんで動くことが

できなかったのだ。


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