緋色の姫は族の一員でした。


空汰side




アキラが連れて来た女。


最初、なんて綺麗な髪だろうと思った。




同時に、なんてこの学校に似合わない雰囲気だろう。とも。






だけど、彼女の目がちらりと見えた時。



なぜだか直感でこの子ならいける気がした。




その色々な感情を持つ、大きく赤い瞳に吸い込まれそうになったから。




「ありがとう。」と言った彼女。


それだけでこの瞳がコンプレックスだったと同時に、いじめられた経験などがあったと思わせる。




なぜこんなに綺麗な瞳が気持ち悪いのか?





あぁ、弱い人間はこの全てを飲み込みそうな赤い瞳が怖いのか。



飲みこまれそうで…




勿体無い、こんなにも綺麗なのに。





ぺこりと頭を下げる彼女。



これでこのコンプレックスもチャームポイントになればいいのに。




そう思った時だった。





前髪がさらりと揺れて顔が少し覗く。





そうして優しい笑顔が見えた。








なんって、綺麗な顔して笑うんだろう。




不覚にも見惚れてしまった。







この子なら、いけるかもしれない。




そう思った瞬間だった。


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