黒鴉-黒の王-
「やっぱりね、こうなるだろうと思った・・・
はぁ~この隣のおじさんはね妖怪なのよ」
声の主は透き通るほど肌の白い、着物姿の女の人だった。
青白いほどのうなじから延びる首筋は妖艶そのものって感じで。
てか今・・・何言った?
「きっとまだお嬢ちゃん状況、読み込めてないでしょう?
目ぇ覚まして目の前にいたのがこんなおじさんだったらきっとホラーだもの。
私だってたまにびっくりするもの」
そんなぁ・・・~とおじさんが頭を垂れるとそんなあんたもあんたでしょ?とフォローになってないようなフォローを女の人が背中を撫でながらいれている。
この人たちさっきからよくは分からないけど絶対いい人だと思う。布団の上にいるしこの人たちが助けてくれたのかな?
項垂れたおじさんから目を離して女の人がこっちへ指線を移す。
「あら、そういえばお嬢ちゃん名前なんていうんだい?私は芙蓉(フヨウ)よ。楽に読んで頂戴」
「ありがとうございます。私は摩耶(マヤ)です」
「摩耶ちゃんね、この人名前は嘉六(カロク)よ」
「おぉ!お嬢ちゃん摩耶ちゃんって言うんかよろしくじゃ」
そういって二人が微笑む。