サヨナラのしずく
「俊平の家の前にいる」


『あ?俺の家の前…?』




俊平がそう言って数秒で扉が開いた。




そして、俊平の顔を見るより先に力強く抱き締められた。



しばらく抱き締めていた俊平は体を離し、あたしの顔を除きこむ。




「何があった?」



「…………」


「なんで泣いてんだ?」


「…会いた、かった」




タクミさんが教えてくれたから、素直に今思ったことを口にできた。



俊平はあたしの頭を優しく撫でる。




「俊平に会いたかった」


「俺も、お前と会ってねぇとおかしくなっちまいそうだ」





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