サヨナラのしずく
「行くか」




待たせて悪いななんて言葉もなく、俊平はさっそくあたしの肩に腕を回して歩き出す。



そしてクラブの前と言うか、俊平の住んでいるビルの前までやってきた。



いきなり家に行くのかと思ったけど、覚悟してきたんだしそんなことはどうでもいいのかもしれない。



俊平はクラブの前で足を止め、あたしのことを見てきた。




「お前、これつけとけ」


「え?」




そう言って、俊平はいつも自分がつけてるメンズもののネックを外している。



そして外しおわりあたしに手渡した。




「なんでつけとくの?くれるの?」




何故いきなりこんなことをするのか、あたしにはさっぱりわからなかった。





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