サヨナラのしずく
だけど、あたしは起き上がり俊平に背を向け脱がされた服を着た。



背中から俊平の視線を感じる。



それに気づかないふりをして立ち上がった。




「帰るのかよ?」


「うん」


「泊まっていけよ」


「帰ってご飯食べる」




ご飯を食べなきゃ。


元気でいなきゃ。




「腹減ってんのか?なら、出前かなんか…」


「違うよ!食欲なんかない。だけど、食べないといけないから」




この2日何も食べてなかったけどお腹は全く減っていない。



こんなことタクミさんが知ったらしつこく食べろって言ってくるんだろうな。




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