サヨナラのしずく
そろそろ帰ろうかな。



そう思ってトイレを出て俊平たちの元へ戻ろうとしているあたしに誰か声をかけてきた。




「ひとり?」


「え?」




見知らぬ男の人に声をかけられ一瞬固まってしまった。



やっぱりこんなに回りに人がいても男の人には嫌悪と恐怖を感じる。





「よかったら1杯奢るし一緒に飲もう」




大音量のせいかこういう場所だからかはわからないけど、男はあたしの耳元に口を近づけて話してくる。




「離れて」


「え?」


「あたしに近づかないで」


「え?なに?どうしたの?」





この男に近づかれたせいか全身に寒気が走り鳥肌がたった。





「俊平!!」





あたしは奥の席にいて聞こえるはずもないのに俊平を呼んだ。





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