サヨナラのしずく
「でもわかんねぇんだよ。初めてあった時はそんなこと感じなかったし、いつ何があったんだよ」


「………」




繁華街を歩きながら、顔だけをあたしがいる横側に向けて俊平は話してくる。



あたしは俊平がこっちを見ていることに気づいているのに、前を歩く人の足元を見ていた。





「守りてぇんだよ、俺はお前を」


「なんで?」


「俺にもわかんねぇよ。でも心配で心配でたまんねぇんだよ。初めてあったときから今にも消えそうなお前が心配なんだよ」




繁華街のど真ん中で俊平はそう言った。




「…心配かけてごめんなさい」


「そんなことどうでもいい。守ってやるからお前の抱えてるもん話せや」




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