溺愛王子とヒミツな同居



「まったくだ。どうしてくれんだよ。1週間もあいつの面倒見なきゃならないこっちの身にもなれよ」



ギロッと睨んだ俺に「俺も手を焼いてんだわ」と苦笑する。



「何なんだろうなぁ。あいつがあんな性格に育ったのはやっぱ、小さい頃から両親が共働きだったせいなのかね。
一番母親が恋しい時期に構ってもらえなくて、面倒見るのはいつも俺やじいちゃん、ばあちゃんだったからな。

可哀相だと思って甘やかして、構いすぎたのがダメだったのか。
我儘だし、悪知恵ばっか身について、人の顔色ばっか伺うようになったし。

あいつは意地っ張りだから、絶対に寂しいなんて言わなかったし、俺にも言ったことなかった。
だからその反面、同い年のお前や藤沢には我儘言ったり、困らせたりして甘えてたのかもしれないな」



遠い目をして、昔のことを思い出してる悠二の隣に俺も腰を下ろす。



確かに祥吾の両親は、あいつが小さい頃から共働きでいつも忙しそうにしてた。



それでも、寂しいなんて言ってるところは俺も聞いたことがない。



両親の前では、我儘言うタイプじゃなかったし、あいつなりに気を遣っていたのかもしれない。



手のかからない子を演じて、悠二や有紗、俺やまりやの前では本当の自分を出してた。



根は悪い奴じゃないけど、あいつの性格があんなふうになったのは少なくともその可能性が高いかもしれない。


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