溺愛王子とヒミツな同居
「出来上がった性格を変えろってのは無理な話だけど、まぁ仲良くしてやってくれよ。
あんなんでも俺の可愛い弟なわけだ」
「そんなに可愛い弟なら、追い出すことなんてせずに許してやればいいだろ」
「いや、それとこれとは話が違う。有紗を勝手にヒロに会いに行かせて、おまけに泣かせて帰ってきたんだぞ!?
これを許せってほうが無理だ」
どんだけ有紗のこと、過保護にしてんだよ。
まぁ、唯一の女で一番末っ子だから可愛がる気持ちはわかるけど、泣かせた理由知ったら……俺もただじゃ済まされない空気だな、これ。
はぁーっと溜め息を吐いて、立ち上がる。
「とりあえず、あいつ自分から帰る気なさそうだから、悠二が責任持って謝れよ」
「俺が謝らなきゃいけない理由がわからないんだけど。あいつが悪いんでしょ」
「おっさんのくせに、心狭すぎ」
「おっさん言うな! ったく。ヒロは本当に口悪いな」
余程、おっさん呼ばわりされるのが嫌な悠二は自分は謝らないと、頑として曲げない。
これでも一応、生徒を指導する立場なのに、こんなんでいいのか。
「とにかく、1週間だけは仕方ないから泊めてやるけど、1週間以内に決着つけろよ。
そうじゃないと、悠二のこと一生恨んでやるから」