溺愛王子とヒミツな同居
「タニ~……なかなかやるな、あんた。なら、これで勝負だ!」
絶叫系を4つ、5つと立て続けに勝負していた栞と谷山君。
その間大翔君と宮内君と私は3人でいろいろ回っていたのだけれど、栞と谷山君が次に選んだのは、私が大嫌いなお化け屋敷。
トラウマができたこの場所に来ることになるなんて、見るだけで気分が悪くなりそう。
「まりや、大丈夫か? 顔色悪いぞ」
大翔君が私の顔を心配そうに覗きこんでくる。
「大丈夫……。みんなが楽しそうにしてるの見てると私も楽しいし、本当に気にしないで」
無理に笑ってみせるけど、本当ならこの場所には来たくなかった。
でも、私1人が入るのを断ったりしたら、みんなに悪い気がして……私さえ我慢すればいいんだと自分に言い聞かせる。
「まりや、無理して合わせる必要ないんだぞ。嫌なら入らなくていい」
大翔君はこうやって言ってくれるけど、大丈夫だと自信なさげにでも笑う。
そんな私を本当に心配そうに見てる大翔君は、それ以上は何も言わなくて、代わりに手が離れないように、しっかりと握ってくれる。
「よっし。まずは、あたしら3人が入るから。
ヒカりん、この悪ガキが逃げようとしたら、すぐにあたしに知らせてよ。
あんたは監視役で一緒に入ってもらうんだから。
タニー、これは真剣勝負だ! ちょっとでも怖がる素振り見せたら、カメラに収めて一生笑いものにしてやる!」
「こんなので逃げるわけないでしょ。全然怖くなんかないしね~」
栞と谷山君、2人の間に火花が見えたような気がする。
出口で待ってるからと言い残し、3人は暗闇の先へと消えて行った。