溺愛王子とヒミツな同居



「タニ~……なかなかやるな、あんた。なら、これで勝負だ!」



絶叫系を4つ、5つと立て続けに勝負していた栞と谷山君。



その間大翔君と宮内君と私は3人でいろいろ回っていたのだけれど、栞と谷山君が次に選んだのは、私が大嫌いなお化け屋敷。



トラウマができたこの場所に来ることになるなんて、見るだけで気分が悪くなりそう。



「まりや、大丈夫か? 顔色悪いぞ」



大翔君が私の顔を心配そうに覗きこんでくる。



「大丈夫……。みんなが楽しそうにしてるの見てると私も楽しいし、本当に気にしないで」



無理に笑ってみせるけど、本当ならこの場所には来たくなかった。



でも、私1人が入るのを断ったりしたら、みんなに悪い気がして……私さえ我慢すればいいんだと自分に言い聞かせる。



「まりや、無理して合わせる必要ないんだぞ。嫌なら入らなくていい」



大翔君はこうやって言ってくれるけど、大丈夫だと自信なさげにでも笑う。



そんな私を本当に心配そうに見てる大翔君は、それ以上は何も言わなくて、代わりに手が離れないように、しっかりと握ってくれる。



「よっし。まずは、あたしら3人が入るから。
ヒカりん、この悪ガキが逃げようとしたら、すぐにあたしに知らせてよ。

あんたは監視役で一緒に入ってもらうんだから。
タニー、これは真剣勝負だ! ちょっとでも怖がる素振り見せたら、カメラに収めて一生笑いものにしてやる!」



「こんなので逃げるわけないでしょ。全然怖くなんかないしね~」



栞と谷山君、2人の間に火花が見えたような気がする。



出口で待ってるからと言い残し、3人は暗闇の先へと消えて行った。



< 365 / 437 >

この作品をシェア

pagetop