溺愛王子とヒミツな同居
見送って数分。
いよいよ自分たちの番が近付いてきた。
さっきよりも気分は悪くなり、怖さへの緊張感で息苦しささえ感じる。
ずっと目を閉じてれば、大丈夫だよね……?
自分へ問いかけて、返事が返ってこないことがわかっていても、確認せずにはいられなかった。
そして、いよいよ私たちの順番が回ってきた。
「すみません、やっぱりやめます」
係りの人にそう伝えて、軽く頭を下げると大翔君は私を連れて列から抜け出る。
「大翔……君……? どうして……」
「顔色悪すぎる。俺は最初からこのつもりでいたし。お前が怖がってんのに、無理に連れていけるわけねーだろ。
あいつらにはちゃんと俺から話すから、出口で待ってよう。
まりやは気分が落ち着くまで、俺に寄りかかってな」