溺愛王子とヒミツな同居
私が最初から無理をしていたこと、大翔君はちゃんとわかっててくれたのに、結果的に迷惑をかけることになってしまった。
「ごめんなさい」
お化け屋敷の出口付近にあるベンチに座ると、大翔君は自分の肩を私に貸してくれた。
「謝らなくていい。
無理に入って、お前の体調が悪くなる方が心配。
少し休んでていいから」
触れあった肩から、大翔君の体温が伝わってきて、それが今の私にはすごく安心できた。
「え? あれ? なんで2人が先にいるの」
少しして、出口から現れた宮内君は、ここにいるはずのない私と大翔君を見て驚いた。
「てか、まりやちゃん顔色悪いけど、どうしたの?」
その後ろから、納得いかなそうな栞と無表情で出てきた谷山君がいた。
「まりや、どうした!? あ……ごめん、あたしが何も考えずにこんなとこに行こうなんて言ったから、気分悪くなった!?
……無神経だったね。
あたし、冷たい飲み物買ってくるから、ちょっと待ってて」
私のトラウマのことを知ってる栞は、何度も謝りながら背中を優しく擦ってくれて、すぐに慌てて駆け出していく。
「あ、米ちゃん。オレも行くよ。みんなの分も買ってくるから」
せっかくみんなが楽しんでたのに、私のせいで台無しになっちゃって、悪いことをしてしまった。