溺愛王子とヒミツな同居
真っ暗なところは、狭くて何も見えなくて……怖い……。
誰かが一緒にいてくれれば、まだ何とか耐えられるけど。
「お化け屋敷くらいでどうしたの。全然怖くもないじゃん」
あまり私と大翔君に話しかけてこなかった谷山君の、退屈そうな声が聞こえてきた。
私の隣に座って、気分が落ち着くまで自分の方へ寄りかからせてくれてた大翔君は、怒ったような口調で返事をする。
「お前、まりやがこんなふうになってんのに、心配もできないのか」
「怖くても普通ここまでじゃないでしょ。それになんでヒロが怒ってんのかわからないんだけど」
「祥吾、お前……よくそんな態度がとれるな。
まりやが暗いところがダメになったのは、お前のせいなのに」
いつもと変わらない谷山君の態度に、大翔君が少し声を荒げる。
「大翔君、いいよ。私は平気だから……」
「平気なわけないだろ。まりやはこいつにもっと怒っていいんだ」