溺愛王子とヒミツな同居
「じゃ、また後で迎えにくるので、先生、彼女のことお願いします」
まだ苦しそうに眠るまりやの髪を撫でて、離れがたい気持ちを我慢し、保健室を後にする。
1人で教室に戻ってきた俺を待っていたのは、クラスメイトからの好奇の視線だった。
「松っちゃん、まりやが倒れたって聞いたんだけど、大丈夫なの!?」
血相を変えて俺に掴みかかってきた米倉の顔を見れば、まりやのことを心から心配してることは一目瞭然だった。
「とりあえず、さっきよりは少しマシだと思う。
熱が高いから、落ち着くまで様子見てもらうことにした」
「そう……。よかった。今日来るの少し遅れたから、ヒカりんからメールもらって心臓止まるくらいびっくりしたよ。
あ、そうそう。まりやをからかってた奴らは、あたしらがバッチリ絞めといたから安心しな。
おい、お前ら! まりやが元気になったら誠意をもってちゃんと謝れよ?」
クラス中に眼を飛ばす米倉から、半数以上が目を逸らして顔をうつむけていた。
そんな米倉が今の俺には、心強く思える。
「悠ちゃんには俺から言っておいたから。
幸い、今日は授業が午前中で終わるからよかったね」