溺愛王子とヒミツな同居

ニッと笑った光に、返事をしようと口を開きかけてやめる。



無言で俺達の教室に入ってきた祥吾と、目が合ってしまったから。



「まりやは……」



そこまで言いかけて、何を考えてるのか言葉を選ぶ祥吾は、そのまま口を閉ざす。



「お前に関係ないだろ……」



素っ気なく返す俺も、こいつに対してどういう態度を取ればいいのか、わからない。



祥吾に対して怒ってるのは確かなのに、結果的に俺がまりやを傷付けてしまったかもしれないと思うと、こいつとの接し方もわからなくなる。



「関係ない、か……。そう、だよね……」



誰にも聞こえない小さな声でそう呟いた祥吾は、踵を返すと自分のクラスへ戻っていく。



そんな俺たちを何か言いたげに見守るクラスメイトの視線を振り払うように、俺も自分の席に戻った。