ゴッドネス・ティア

紫の霧

街はにぎやかだ。





アタシがいた故郷とは比べものにならないくらいの街の人数。





だが、アタシの故郷と比べて緑は少ないし、空気もまずい。




まるで、アタシみたいだ。



「おっと、すみません」



ある通行人とぶつかった、ふりをした。



毎日毎日、この行為がばれないのが不思議だ。



口元に笑みをつくって盗んだ財布を見る。



中身を確かめ、仕事場へ戻ろうとした。






ドーーーーーーンっ!!







この街のどこかで、大きな爆発音のような音がした。



反射的に辺りを見回す。



すると、


いきなり、すぐ背後にいた男性の影が動いた。




「ぅっ…ぅぅ…っっんー…っ……」




見ると、苦しそうに喉を抑えて、倒れ込んでいる。


医学には無頓着なアタシでも、この状態は危ないとわかるくらい、顔が青白い。


男性は立ち尽くしているアタシに手をのばした。



「た、助け…て…っぐ………………」



アタシに助けを求めると同時に、その人は急に喉を詰まらせたのか、泡を吹いた。


苦しげに地面を転げ回る。


しばらく体を痙攣させていると、男性は力が抜けたように、ふっと動きを止める。




そして、動かなくなった。




「ひぃっ!!」




泡を吹いたまま死んで行った男性の最期を見届けると、アタシは我に帰ったように悲鳴をあげた。


腰が抜けて、その場に座り込む。


なんで?どうして?



バタッ…バタッ…ドサッ



道行く人々が、次々と倒れて行く…




そして…


みんな死んで行った…







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