ゴッドネス・ティア
一方、食料調達組の香月、リュンマ、シャランは水補給組と反対側である木の被い茂った中にいた。
木の実などを集めながら食べられる草を調べる。
「ぁぎゃぁぁぁああぁぁあぁあっ!!!」
遠い彼方から見知った悲鳴と呼べる叫びが聞こえた。
突然の出来事にビクッと肩が震え、手に持っていた木の実を落としてしまう。
そんな香月を心配そうに見上げるシャランと目が合った。
「……今の声、ヒサノだよな…」
「はい、そのようです」
「何かあったのかなー?」
草調べをしていたリュンマも不思議そうに首を傾げながら香月を見上げた。
「…………『国王騎士の行動はリーダーが決めるべし』?」
国王騎士の誓い第十条である。
香月が顔を引きつらせると、二人はコクコクと首を縦に振った。
香月はしばらくの間唸っていたが、時間が経つと顔を上げた。
「何があったかわからない今、動くのは危険だがヒサノが心配だ。
………馬車へ戻ろう」
「ラジャー!!」
「了解です」
香月は答えを出すと、待っていましたと言わんばかりに二人の団員は揃って敬礼をした。
背筋も伸びて完璧だ。
「行くぞ!!」
「アイアイサー!!」
「はい!」
三人は手に持っている食料を投げ出すと、風の如くその場から走り去った。
せっかく集めたその場に散らかった木の実が通りすがったスズメにかじられたのは言うまでもない。