君と過ごした嘘つき時間
《△△前・・・・△△前です。
 お降りの際は忘れ物に気を付けてください》

バスのアナウンスが流れると
彼は、ハッとしたように

「ごめんね、僕ココで降りないと…。」

「あ、そっか。」

「うん、また来週逢おうね」

手をヒラヒラさせて
またもや笑顔でバスから去っていく彼を
私は、ずーっと見ていた。

この目に焼き付ける為に…。

《バスが発車いたします。
 次は、〜〜〜………》

アナウンスの音は
ボーッとしている私の耳を
すり抜けていくかのようにして

すぐに消えていった。



「来週・・・か…。」

今日が金曜日だから
また来週って言うのは当然だよね。


《○○前…○○前です。
 お降りの方いませんかー?》

バスの運転手さんが言ったことで
私は現実世界に呼び戻された。

「はい!降ります」

料金をカードで払って
バスを降り
私は、学校までの道のりを
ノロノロと歩いて行った。
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