華ヒメゴト

2.

「やほっ!」
「裕美?!」私を今日の合コンに誘い込んだ友人が来た。
「まだ集合時間まで時間あるし上がってく?」「そうさせてもらいます!」と図々しく裕美は部屋に入った。

「にしてもアレだねー。よく花育ててるねー」「花?」私が首をかしげると裕美は外の鉢植え、と付け加えた。

「はじめの頃は気味悪がってたじゃん」「そうだっけ?」麦茶を用意しながら、裕美の話を流す。「そうだよ。誰からの届け物かも分からないからって相当嫌悪してたよ?」「…え?どういうこと?」自分でも知らない自分の事を裕美から聞いて一瞬思考回路が止まった。

「んー?あれ?そんなこと言ってなかった?」「多分、言ってない」「なら違う!」一瞬焦ったが、裕美の間違いだった。

それにしても、あの鉢植えは…私が買ったんだっけ?貰ったんだっけ?実家から持ってきたんだっけ?

アレ…どーしたんだろ?
何で思い出せないんだ??

そこだけ、すっぽり記憶がくり抜かれた様な…そもそも、鉢植えに関する記憶そのものが無い。ただ私は、花に水をあげないとかわいそうという想いだけで今まで育ててた。

「ボーっとしてどうした?」裕美のこえで我に返る。「ん?なんでもない」私がそう答えると、裕美はそう。とだけ言い、行こうか?とドアを開け、私達は合コンが行われる居酒屋に向かった。
< 3 / 18 >

この作品をシェア

pagetop