王子様の危険な恋愛領域
は…?
私、可愛いことなんて、何も言ってないよ?


「まあ、生まれて初めてのデートが俺で良かった。じゃなきゃ、イラついてただろうから。」


「…………。」


今日が初デートじゃなければイラつく…って、どういうこと…?


光琉の言葉の意味がイマイチ分からなくて首を傾げた。


「デートって言っても、そんなに難しく考えんなよ。普段通りに話したりしてくれれば、それでいいから。」


「う、うん……。」


あれこれ深く考えなくてもいいってことなのかな…。


光琉の言葉で、少しソワソワしていた気持ちが落ち着いた気がした。


「あっ、ところで…これからどこに行くの?」


まだ、光琉から行き先を聞いてなかったんだよね…。


「着くまで秘密。」


「えっ、どうして!?教えてよ!」


「着けば分かる。」


口元を緩める光琉。


そういう言い方されると、すごく気になる。


教えてくれない光琉に少しムッとしていると…


「おっ、光琉!!」


前方から、こちらに軽く手を挙げながら駆け寄ってくる男の子の姿が目に映った。


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