Samsara

「でも…そんな事はできなかった。
 私に殺される事では無く、神による消滅をリーゼルは選んだんだ。
 彼女は、人間の私では無く…
     神の事をもっと愛していたんでしょうね。」

「嘘…」

「嘘 じゃない。
 最愛の人に殺されたい、だなんて…
      それこそ、嘘なんですよ。」

「違う…嘘なんかじゃ 無い…っ!」

「嘘なんて つかないで下さい。
  私が、全て 受け取りますから。」


リーゼルは、嘘を ついていた。


「…死神さん…っ
 あたし、まだ 死にたくない…っ!」

「……」

「ずっとずっと 貴方と一緒に 居たい…っ!」


死神は

少し寂しそうな顔で

彼女に 言った。


「貴方みたいなバカ…
  殺したって死にませんよ。」


そんな死神に対し

リーゼルは

優しい笑みをして言った。


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