危険BOY'Sにキスをして。
「ただいま…」
100M走が終わり、
自分の持ち場の応援席へと戻った。
「…ちょっと、そこ退いて。」
あたしの席に ヨウが座っていたので
あたしは、ヨウに言った。
しかし、ヨウは。
「……」
無言。
「アンタが退かないなら
あたしが アンタの席に座るからね!?」
「……」
それでも、無言。
あたしは、ちょっとイラッときたが
隣の席のヨウの椅子に、座った。
…いや。
座ろうとした、が 正しい。
再び、腕を捕まえられたのだ。
「ちょっと、離…っ」
「どうして本気を出さなかった?」
「は…?」
バレて、た…?
「俺が耳にした噂だと…
お前は、走り方が変なんだってな。」
「な…っ」
まぁ…
自分でも分かってるけど。
でも!
他人に言われると、やっぱムカつく。
「でもな、さっきの絵梨チャンの走り…
別に“変”って思わなかったんだよ。
…どうしてだと想う?」
「さっきのが、ただの噂…だから?」
「そういや、この間あった100M走の練習の時…
キミ、変な走り方だったね?」
コイツ、分かってて…!
「本気を出す時と出さない時は走り方違う、って事ぐらい…
誰でも分かるだろ?俺を甘くみるなよ?」
「…っ…」
「なんで本気を出さなかったんだ?」
「…べ、別にいいじゃん!
最下位じゃなかったんだから!!」
(パァン…ッ!)
青組の応援席に
頬を叩いた音が 響いた。