危険BOY'Sにキスをして。

「な…、何するのよ…っ!?」

ヨウが あたしの頬を叩いたのだった。


「何するの、は こっちの台詞だ。
 応援する立場なのに、自分が全力を出さないで。」

ヨウには 分かってもらえない…。

あたしが今どれだけ
辛い思いをしているのか、なんて…!


「あたしは、確かに応援団よ!でもね!
 全力でやるか、やらないかなんて 個人の勝手じゃない!
 アンタの考えを…っあたしに言わないでよ!!」

自分でも…
こんな“やつあたり”は 悪い。
って分かってる。

…でも。

今の、あたしには
“それを 解放させる” という
身勝手な考えしか 思いつかなかった…。


「…来い。」

「は…?」

「つべこべ言わず、ついて来い。」

「ちょ…、待…っ!」

腕を捕まえられたまま、
あたしは、ヨウに 引っ張られた。


教師たちは、女子100M走の次の競技を見ていて
それに 全く気付いていない。

大きな声をあげるにもいかず、
あたしとヨウは 誰にも気づかれること無く、
応援席を 去って行った。
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