危険BOY'Sにキスをして。
「もしかして、絵梨チャン…
最初に逢って、俺が言った言葉とか 信じちゃってたりするわけ?」
「…っ…」
「ぁ、図星?
…フフッ、 やっぱり面白いね キミ!アハハハ!!」
ヨウの笑い声が
あたしの混乱した脳内を 刺激した。
「あんなの… 嘘に決まってんじゃん。」
「…!」
「“自意識過剰”。
俺に、そう言ってたのは…誰だっけ?」
「…っ…」
「…そう、キミだ。 でも俺思うんだよね。
キミの方が 自意識過剰なんじゃないか、っ て。」
…分かってる。
“付きあって”って言われて
一度でも信じてしまった 自分が、
自意識過剰だな、ってことぐらい。
…でも!
コイツにだけは!
そんなこと言われたくない!!
「じゃあ、何で!? 何で、あんな…
ふざけた台詞、言ったわけ!?」
「ふざけた台詞?
キミは、一度でも信じた台詞を…
ふざけた台詞、って言うんだ?」
「うるさいっ!良いから、答えてよ!!」
「恐い恐い。」
コイツのイラッとする態度に
あたしの怒り度は、MAXになっていた。
「…んだよ。」
「は…?」
「楽しいんだよ。
アイツみたいな芸能人を傷つけるのが。」
黒い笑みを浮かべながら 言う、ヨウ。
「だからって」
「楽しいんだ…」
あたしの言葉は
ヨウによって、遮られた。
「そんな芸能人を好きになる
キミみたいな馬鹿な女をからかうのがね。」
クスクス、と笑いながら言うヨウ。
あたしの脳内は…
苛つきを 増していた。
「なによ、それ…っ」
『生徒会長、黒峰要…
至急、本部に来て下さい。』
「「…!」」
『繰り返します。 生徒会長、黒峰……』
校内放送、校外放送が 鳴る。
忘れてた。
今が…
体育祭の途中だった、って。
「じゃあ 俺は行くよ?」
「ちょっと、待っ…」
屋上の扉を開けようとする
ヨウの腕を掴んだら…
「そういや。」
あたしの顎に 手を添え、
二人の身長差を補うように そっと顔を仰がせる。
…そして、
軽く顔を傾けながら ゆっくり近づいてくる。
「ちょ、何し…っ」