危険BOY'Sにキスをして。

「誰になんて 言われたって…
 あたしは、イツキを愛してる…っ! 」

イツキ。

その人以外…
考えられないよ。


「イツキを追いかけなきゃ、あたし…っ
  居ても立っても いられない…!」

“ヨウの事が好き“?

…そんなの気の所為だった。


「言っとくけど、あたしは…
 キスで落ちるような ちっぽけな女じゃないから!」

ヨウが…
1ヵ月前に言ってた「弱点」。


普段は、口調等がきついはずの男が たまに優しくする。
それに、女は 惹かれる。
そのギャップに。

簡単に言えば“ツンデレ”がそれに当てはまる。

それと 同じこと、だ。


いきなりキスをする男。
いきなりキスをされる女。

された女は、無意識に
彼の事を意識し始めるんだ…。


その“恋の錯覚”に あたしは、
まんまと はめられていた。

つい、さっきまで…。


「アイツが 本当に…
 キミの事が好きじゃなくても、か?」

「…っ例え、そうだとしても!
 あたしの好きな人は 変わらんもん!」

「そうかい…」

そう言った、ヨウは…
“哀しげな瞳” をしていた。


…しかし。

その表情は、一瞬にして変わった。

「俺は、知らないよ? キミが…
  どんなに傷つかれても、ね。」

「どういう、こと…?」

「桜井が言ってただろ?
 “櫻井くんが、次に学校に来たとき…
    覚えておきなさいね?”って。」

「言ってたけど…」

何でコイツ知ってるわけ!?

まさか、1ヵ月前の屋上で…
優子とあたしが話しているのを盗み聞きしてた !?

まぁヨウが屋上から降りて、すぐに優子が来たわけだし、その可能性はある。
てか、ヨウと優子が鉢合わせしてもおかしくないしね。


「アイツが 学校に来て、近づいたら キミ…
     タダじゃ済まないんじゃない?」

優子たちファンクラブからの、 暴言・暴力。
そして、いじめ…。


“1人の男に、何人もの女が好きになる”

これは、世界中に…
沢山あるでしょ?


…だから。

「自分が傷ついたって…
 それを乗り越えてこそ 本当の愛、じゃないの?」

「……」

「だから、あたしは イツキを好きでいる!
 あの人が 本当の気持ちを伝えてくれるまで、ね。」

「……」

屋上に居る、あたしとヨウに
涼しい風が 吹いていった…。


「キミは、どうしても…
 イツキに惚れている、って事か。」

「うん…だから、ヨウの気持ちには…」

「俺の気持ちには、何?」

「前に言ってくれた…」

「前? キミさ、何のこと言ってるの?」

「ぇ…?」

ヨウの言葉の意味を、認識する事が出来なかった。
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