危険BOY'Sにキスをして。

「自分の心が不安定でも、本気を見せろよ。」

応援席に戻ってきた ヨウは、あたしをジッと見ながら そう言ってきた。


「誰かさんに服を破られて、俺の心は ボロボロだ。だけど。
 俺は今、一生懸命走ってきた。
  …どうしてか、分かるよな?」

「…知るワケないじゃん。
 アンタみたいな腐った人の考えなんか。」

「俺が腐った人間? どうしてだい?」

こいつ、 最低だ。


最初は「好き」って言ってくれた。

…なのに。
昼休みになる前に、それは「嘘」だって言った 。
人の心を持ち遊んでた。

そんな人間が…
腐った人間じゃない、って?

馬鹿みたい。


「アンタだって言ってんのよ!ふざけないでっ !」

「ふざけてるのは、どっちよ。」

「ッ!?」

ヨウに対して言ってたのに 声をあげたのは、優子。


「要くんの衣装を破ったのに…
 よく、そんな事が言えるわよね。」

「アンタには関係ないじゃない! これは、あたしとヨウの問題なの!」

大体さー、優子…

アンタの所為じゃん。
衣装を破ったのも、アンタじゃん。


なのに…

「関係あるわよ。 貴女が 黒峰くんの衣装を破ったの 生で見たのよ?
 私達が止めたのにも関わらず、破り続けてた 貴女。どうにかしてるわ。」

「……」

どうにかしてる?
それ、自分のことじゃない。

そっくりそのまま返す、っつーの。


「…あたしが後先考えずに行動するとでも思っ た?」

そんなわけないじゃん。

「優子、今日の閉会式覚えててね。」

本当は、 そんなこというはずなんかなかった。

閉会式に何をするか そんなこと自分でも分からない。
何も準備なんかしてないから。

…ただ。

これ以上、 優子に負けたくなかった。
負けたくなかったから、 強気を見せた。


優子は、そんなあたしを1度凝視し、 広い運動場のトラックの方へと走って行った。

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