Hair cuts
「ちょっと疲れたね。座ろうか」
 
言葉を捜していた私の腕を愛華が引っ張って、ベンチへ走っていった。真っ赤に着色された甘い飴がぱちんと割れてると、酸っぱいだけのいちごの味が口いっぱいに広がった。

すっかり仲良しのつもりでいたけれど、私は、まだ愛華の事をよく理解していない。いつ、どこで彼女を傷つけるか、はっきりとした境界線を知るほどの深い仲ではないのだと、私は自分を戒めたが、愛華はあまり気にしていないようだった。

空いているベンチの前で大きく手を振る愛華に私は微笑んで駆け出した。

愛華は優しい子だった。


「あれぇ、お二人さん何してるの?」

しばらくすると、突然頭上から声がした。顔をあげると、目の前にひょろりと背の高い二人組み。浩人と遊里だった。

「さくらと愛華も来てたんだ」

ほとんど話した事もないのに、浩人は馴れ馴れしく私たちを呼び捨てにし
た。

「お前らって、本当いつも一緒だよな。何、同じ高校出身なの?」

浩人が愛華の隣りに座ると、愛華が体を強張らせ俯いた。

「ううん、そうじゃないけど、なんだか意気投合しちゃって。ね?」

代わりに答えると、愛華は小さく頷いた。

「立ち話もなんですし、いい?遊里。お前もさくらの隣りに座れよ」

ぼんやりと立っていた遊里が、じゃあというふうに片手を上げ、私の隣に腰を降ろした。私と愛華は二人に挟まれるようなかたちになってしまった。
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