Hair cuts
「来年の今頃は」

思い出したように遊里が言った。

「来年の今頃は国家試験で焦ってんだろうなぁ」

遊里がため息をつく。

「入学したときは、後二年遊べるって余裕こいてたのに、時間が過ぎるのって早いよな」

「本当ね」

来年の今頃は、もうそれぞれの将来へ向かって歩き出しているのだと思うとまらなく寂しかった。

さくらは、どうするつもりなのだろう?この街へ残るのだろうか?それとも、都会へ行ってしまうのだろうか?

ようやくできた仲間が、散り散りになるかもしれないなんて、考えたこともなかった。

「ずっと、このままでいたいよね」

そう言うと、遊里も、

「ああ、そうだな」

と、頷いた。

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