LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
野菜大きめな、

市販のルーを使ったべたなカレーが

彗のお気に入り。

野菜を剥きながら、

ぼんやりと陽向との別れを思い出していた。


-----------------


「これ指輪、

誕生日にって用意してた。」

陽向の差し出す指輪を

受け取ろうとしなかった。

「もうあとには戻れないのか。」

「私、待てせてるの。」

「あいつ?」

「うん。可愛いのよ。

 私だけを見て私だけを必要としてる。」


「俺、確かに俺は、お前だけを見てるわけには行かなかった。

 でも、お前だけを愛してた。

 約束する、

 これからはお前だけを見る。

 だから…」

私は首を横に振る。


「時間は巻き戻せないか。」


「陽向。

 ごめんね。

 言い訳させないで、

 他の人に心動かして、

 運命なんて信じてないけど。

 初めから、こうなることは

 決まってた気がする。」



< 116 / 272 >

この作品をシェア

pagetop