LOVERS♥HOLICK~年下ワンコと恋をして
あの日まではこんな日が来るなんて思いもしなかった…


フォークを持つ手が嬉しそうに

お皿を行ったり来たりする

ああ、この手、好きだわ。


スラリと伸びたその指に恋して

私は…





「ねえ?何考えてるの?」


「あ、うんごめん。

 あたし今日はどうかしてるみたい。


 思い出してたの。彗とのはじめての夜。

 汚い部屋のベッドのこと。」


「汚いって、


 だからあれはたまたま、

 あ、だから柊は俺の部屋に来たがらないのか。」


「バレた。」


「ひで~」

あれから彗は私の部屋に入り浸っている。


一緒に暮らそうかとも話しているが、

まあ、ゆっくり決めていけばいい。


「ねえ彗、始めから決められてたのかもしれないわね。

 私たちがこうなること。」


「どういうこと?」


「だって、用心深い私が、あなたを誘ったのよ?

 この指に一目ぼれして。」


「ひどいなあ、僕はこの指だけじゃないのに。」

私はクスクスと笑う。

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